三宅一生と「一枚の布(A Piece of Cloth)」
- Keiya Otsuka

- 2月12日
- 読了時間: 4分
ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)は、コムデギャルソン、ヨウジヤマモトと並び、日本を代表するファッションブランドのひとつです。
イッセイミヤケは、単なるデザイン性だけでなく、服の構造・素材・技術開発の面で評価されています。それまで注目されていなかった日本のファッションを、世界的な立場へと押し上げたブランドでもあります。

三宅一生とイッセイミヤケ

三宅一生は広島での自身の被曝の体験から、
「破壊ではなく、創造から生まれる洋服」
を目指します。この体験は自身のデザイナーとしての根幹となる思想でした。
パリ、ニューヨークでデザインを学んだのち日本に帰国した三宅は、1970年に「三宅デザイン事務所」を設立。
1971年春夏シーズン、のちに伝説のブランドである「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」をスタートさせました。
"一枚の布(A Piece of Cloth)"
イッセイミヤケの根底にある考え方は 「一枚の布」 という思想です。

布をできるだけ無駄なく使い、身体の動きに合わせて形が変化する服を作ること。一枚の平面的な布から、切らず・無駄を出さず、立体的な衣服を生み出すという発想。
それは「いままでにあった洋服とは全く逆の作り方」でした。
西洋服飾の多くは、型紙を作り、布を細かく裁断し立体に縫い合わせを行います。
「分解→再構築」の考え方です。
これに対してイッセイミヤケは真逆で
「布をそのまま生かす」手法を取ります。
なるべく切らない、布の面積をそのまま活かす、布が身体に沿って自然に立体になるという方法を追求しました。

これは自身のルーツである日本の衣服文化から着想を得たものです。
イッセイミヤケの洋服は、着物のような一枚の布と同じ構造を持っています。縫製が極端に少なく、大きな一枚の布で体を覆うもの、それが三宅一生の辿り着いた答えでした。
日本人ならではの「身体と、それをおおう布、その間に生まれる「ゆとり」や「間(ま)」の関係を追求する。」
この考え方が、プリーツ技術や無縫製ニット、立体構造のデザインへとつながっています。
ISSEY MIYAKE の表現する世界
イッセイミヤケには、思想を異なる角度から表現する複数のラインがあります。
ISSEY MIYAKE

メインラインであるレディースのコレクション。三宅一生の原点でもあり、最も実験的でアート性の高いラインです。一枚の布、であるアイテムを始め、素材開発や立体構造など、ブランドの研究成果が反映されています。
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(プリーツプリーズ)

イッセイミヤケを象徴するプリーツ加工のラインです。
軽量
シワにならない
洗濯可能
伸縮性が高い
という機能性を持ち、日常着としても非常に優れています。
またこのプリーツのデザインは機能性だけでなく、イッセイミヤケを象徴する意匠として幅広く認知されることとなりました。
HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(オムプリッセ)

プリーツプリーズのメンズラインです。
ゆったりとしたシルエットとドレープが特徴で、体型を選ばず美しく着用できます。
BAO BAO ISSEY MIYAKE(バオバオ)

三角形のパーツで構成されたバッグラインです。
持つことで形が変わる、構造デザインの代表例です。
A-POC(エーポック)

コンピューター編み機で服の形を編み出す技術です。裁断や縫製をほとんど必要としない革新的なプロジェクトです。
イッセイミヤケの生んだ名作
イカコート

ブランド初期からあるこちらのコートは衝撃的なデザインで一躍話題となりました。
三宅の"一枚の布"の思想が反映された、大きな布で体をすっぽりと覆うコート。腕を下ろした時には自然と身体に沿うシルエットへと変化します。
人間の可動域に合わせた機能性と新しい衣服デザインへの追求が評価されている名作であり、当時のコレクションは非常に希少価値の高いものとなっています。
プリーツシリーズ

プリーツといえばイッセイミヤケのイメージが強いでしょう。加工でプリーツを施す独自技術により、身体の動きに追従する服です。
このプリーツは一時的な加工ではなく、経年はあるものの半永久的に持続します。
プリーツの立体とそこに生まれる余白。三宅一生の目指した洋服を体現するデザインです。
95-96AW パラシュートボンバージャケット

アーカイブの中で特に人気があるのがこちらのアイテム。ミリタリージャケットをベースにしたデザインと、イッセイミヤケのデザインが融合しています。現在ではなかなかお目にかかれない希少な一着です。
追悼とこれから
三宅一生氏は2022年に永眠されました。三宅氏が日本、そして世界へと与えた影響はとても大きいもので日本人の誇りだと思います。
残念なことに、彼のデザインした洋服を入手できるのは、過去のアーカイブと呼ばれるアイテムのみです。
しかしながら彼の作品と思想は生き続けます。
過去の名作たちを懐かしみつつ、新しい作品、新しいイッセイミヤケに期待したいと思います。
拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。


