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世の中には数多くのブランドで溢れていますが、袖を通した瞬間に違いを肌で感じさせてくれるブランドはそう多くありません。


今回ご紹介するのは、岡山県倉敷市を拠点とする縫製工場・生地製造販売会社が手掛けるアパレルブランド、CIOTA(シオタ)です。



CIOTAの最大の特徴は、原料への圧倒的なこだわりにあります。彼らが展開するすべてのコットン生地には、世界に数ある綿の中でも最高峰とされる「スビンコットン(Suvin Cotton)」が使用されています。


インド原産のスジャータ綿と、カリブ海の島国セントビンセントで栽培される海島綿(シーアイランドコットン)を交配させたこの希少な超長綿は、シルクのような光沢と、カシミヤに引けを取らない滑らかな肌触りを併せ持っています。



一般的な「硬い」「ゴワつく」というヴィンテージウェアのイメージを覆す、しっとりと肌に吸い付くような着心地。それがCIOTAのアイデンティティです。



ファクトリーブランドゆえの「一貫体制」


CIOTAを運営するのは、数々の有名ブランドの製品を手掛けてきた「株式会社シオタ」。

布地のデザインから織り、そして縫製まで、服作りの全工程を自社で完結できる「ファクトリーブランド」であるという強みを持っています。



効率を優先した服作りではなく、納得がいくまで素材と向き合い、ミリ単位でシルエットを調整する。そのストイックな姿勢が、無駄を削ぎ落としたミニマルな美しさを生み出しています。縫製は国内の熟練の職人による手作業です。このクオリティーを維持できるのも、ファクトリーブランドならではの強みです。



シオタを代表するブルーデニムはタテ糸に本藍で染めた中白糸、ブラックとグレーデニムは硫化染料で染めた中白糸を使用。ヨコ糸にはスビンコットンを用い、あえて生産効率の低い旧式力織機(シャトル織機)で織り上げたセルビッチデニムは、国内でも限られた工場でしか生産できません。


あえて生産効率の低い旧式織機を用いるのには理由があります。ゆっくり、時間をかけて織り込むことでデニム生地に独特のネップ、凹凸や立体感が生まれます。シオタではこの表情を出すために時間やコストをかけています。



染色では「スビンコットンに合わせた最高のロープ染色」を追求しています。高級綿であるスビンコットンと、あえて現代の標準であるロープ染色を掛け合わせることで、「ヴィンテージの見た目(武骨なヒゲやアタリ)と、現代的な履き心地(シルキーな肌触り)」を両立させています。


最高の生地、最高の縫製、最高の染色と最高の表現。デニムでこれら全て揃えることのできるブランドは世界でも唯一無二の存在だと思います。このブランドの特異性がおわかりいただけたでしょうか。


ヴィンテージへの敬意を、現代の解釈で


デザインのインスピレーション源は、40年代のミリタリーパンツや70年代のデニムといった、いわゆる「ヴィンテージアーカイブ」。




しかし、単なるリプロ(復刻)に留まらないのがCIOTAの面白さです。


当時の武骨なディテールを尊重しつつ、スビンコットンという極上の素材を乗せることで、現代の都市生活に馴染む「上品な日常着」へと昇華させています。


CIOTAの服は、実際に手に取り、袖を通し、洗濯を繰り返すことで、その「質の高さ」をより深く実感していただけるはずです。


流行に左右されず、10年後もクローゼットの主役であり続ける一着。


ぜひ、あなたのワードローブに加えてみてください。


information





学生時代働いていたセレクトショップでは、いつもショーケースに本が一冊だけ置かれていました。なぜ服屋に本が。しかも一冊だけ…。


副店長に聞くと、「お前アイビー知らないの?男の服の全ての基本になる型だよ。」と教えられ、休憩時間にも関わらず半ば強制的に読まされた記憶があります。なら聞かなきゃよかった。


実はこの本、『TAKE IVY』というメンズファッションのバイブルとなっている名著です。同時に店の中でも、教科書的な存在として常に置かれていました。


TAKE IVY
TAKE IVY

アイビーってなんだ


この本の内容を一言で言うと「50年代アメリカの男子大学生」のスナップ集です。系統で言えばいまのファッジとかクルーエルに近い感じです。


そしてアイビーとは、ファッション黎明期である1950年代にアメリカ東海岸の名門私立大学8校(アイビー・リーグ)の学生たちの間で広まったスタイル。乱暴に言えば昔の日本のGMARCHで流行った服、みたいな感じです。

ここから生まれたスタイルを『アイビー・ルック』なんて言ったりします。



基本スタイルは紺ブレに、ボタンダウンシャツ、チノパン、コインローファー、ニットタイなんかも合わせたりします。


これさえ抑えておけばアイビーは大体理解してもらったと思って大丈夫です。これだけです。


なんせファッション黎明期の「始祖」なので、アイテムは全てクラシックそのもの。現代でこのまま着るのはちょっとキメすぎてる感じもします。ある程度歳を取らないとカッコよく見えないスタイルなのでは。


特に日本人の若者が真似して着ると、なんか嘘っぽくてしっくりこない。特にブレザーとチノパンの合わせは色味も離れててなかなか難しいです。タイドアップなんてした日には学生に間違えられます。

これくらいならいけるかもねアイビー



スタイリスト長谷川昭雄さんのコーディネートです。色味を抑えつつ、キャップやパンツ、ブレザーのシルエットでいかに崩せるかが現代版アイビーのポイントだと思います。


ぱっと見はアイビーの面影がないですが、シャツやジャケットの崩したサイズ感、ピンズなど、確実にアイビー「知ってる人」の合わせ方だなあと思います。


太めの軍パンやフーディー、スニーカーと合わせるのも定番で、ブレザーがカチっとしている分、他はとにかくカジュアルなものを持ってきた方がバランスが取れます。


アイビーの要素はちょびっと感じられるくらいが、「わかってる感」もありつつ現代風に着回しやすいです。

ファッションを楽しむのにうんちくは不要ですが、型に忠実な人、あえて型を外している人のスタイルは一目でわかります。どれも違う良さがありますが、「知っている人」の服選びには好きなスタイルがはっきりと感じられて素敵だなあと思います。


特に紺ブレの汎用性はなかなか高いのでまた紹介しようと思います。みなさんもいつものスタイルにアイビー、ぜひ取り入れてみてください。



◾️information


1960〜70年代の若者を虜にし、一大センセーションを巻き起こした「アイビー・スタイル」。石津謙介が提唱したそのスタイルのバイブルとも称される幻の本『TAKE IVY』。アイビー・リーグ校のキャンパスを密着取材した幻の名著が、46年の時を経て復刻。


ページ:141ページ

価格:¥16,755-(税込)

発売日:2011/9/8








— マルジェラのペンキデニム —
— マルジェラのペンキデニム —

本日は、現在出品されている"REPLICA Paint Denim Pants"。

通称ペンキデニムについて深掘りしていきたいと思います。


Maison Martin Margiera


1988年、ベルギー出身のデザイナー

MartinMargielaによって設立されたMaison Martin Margiera 。


このブランドを語るうえで欠かせないのが、

匿名性、脱構築(デコンストラクション)、そして再解釈という思想です。


当時のファッション界は、デザイナーの名前やカリスマ性がブランド価値を決める時代でした。しかしマルジェラは、あえてその真逆を行きます。


デザイナーはメディアの前に姿を現さない。

ブランドロゴは前面に出さない。

タグには名前ではなく、四隅を白い糸で留めたシンプルなラベル。


そこにあるのは

「誰が作ったかではなく、服そのものを見てほしい」

という静かなメッセージでした。


そんな思想は、数々のプロダクトにも色濃く現れています。



既存の服を一度“消す”


マルジェラの代表的なアイテムの一つに、ペンキデニムがあります。


一般的にペンキデニムと聞くと、ペンキが飛び散ったような加工を想像するかもしれません。しかしマルジェラのそれは少し違います。


デニムを白いペンキで上から塗りつぶす。


しかしその行為は単なる装飾ではありません。


デニムという、すでに完成された服。

歴史があり、文化があり、ヴィンテージという価値基準まで存在するアイテムです。


そこに対してマルジェラは、あえてペンキを塗る。


つまりこれは

完成された服の文脈を一度リセットする行為だったのです。

なぜ白なのか


ここで重要になるのが、白という色です。


Martin Margieraにとって白は特別な意味を持つ色でした。


•ブランドタグ

•パッケージ

•ショーの空間

•スタッフの白衣


ブランドの至るところに白が使われています。


白が象徴するのは

アノニマス(匿名性・無名性)、無垢、そしてリセット。


既存の価値観を一度塗りつぶし、まっさらな状態に戻す。


その象徴が白でした。


デニムを白で覆うという行為は、

単なるデザインではなくMartin Margieraの思想そのものなのです。


時間が完成させるデニム
時間が完成させるデニム

このペンキデニムの魅力は、履き込むことで現れます。


動きによってペンキは徐々にひび割れ、擦れた部分からインディゴが顔を出す。


最初は白く覆われていたデニムが、時間とともに本来の姿を取り戻していく。


つまりこのデニムは、履く人の時間によって完成していく服なのです。


新品の状態がゴールではない。


着ることで変化し、育っていく。


それはヴィンテージデニムの価値観ともどこか重なりながら、まったく別のアプローチで生まれたプロダクトでした。



静かな主張


遠くから見れば、ただの白いデニム。

しかし履き込むほどに下からインディゴが現れ、

唯一無二の表情へと変化していく。


派手な装飾はありません。

強いロゴもありません。


けれどファッションを知る人ほど気づく、

静かなコンセプト。


ペンキデニムは単なる加工デニムではなく、

Martin Margieraの思想そのものを体現した一本なのかもしれません。

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