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アルチザンブランドとは? 歴史から紐解く“手仕事”の価値


ファッション業界には、トレンドを追うブランドだけでなく、「ものづくりそのもの」に強い価値を置くブランドが存在します。それがアルチザンブランドです。



アルチザンとは



artisan


職人。芸術批評の分野ではしばしばアルチスト (芸術家) と対立する語として使われる。技術的には熟練し精妙な腕を発揮しながらも,芸術的感動に乏しい作品を作る人々を批判的にいう言葉。しかし,いわゆる「職人芸」を見直す気運が高まるにつれ,この語自体の評価軸にも変化が見られる。


引用元 コトバンク


また、アルチザンという言葉自体は日本特有の言葉となっており、海外では独立系(independent)と呼ばれることも多々あります。


巷では〝服好きの終着地点〟とも言われてますね。


近年、サステナブルやクラフトマンシップが注目される中で、改めて評価されているジャンルでもあります。本記事では、アルチザンブランドの歴史と特徴、そして代表的なブランドについてご紹介いたします。



アルチザンブランドの意味



「アルチザン(Artisan)」とは、フランス語で職人を意味します。


つまりアルチザンブランドとは、


・大量生産を前提としない

・職人の技術や感性を重視する

・素材や工程に異常な程に強いこだわりを持つ


といった特徴を持つブランドを指します。


実際にどのくらい異常かと言いますと


・風合いを出すためにレザーを砂漠に3年間埋めた

・タンナーの段階で革を川の水質、ミネラルで変化させる

・縫製を一度バラし、服の記憶を残したまま再構成


など様々な逸話が存在しております。


単なる高級ブランドとは異なり、「誰がどのように作ったか」という背景そのものが価値として成立している点が最大の特徴です。



産業革命へのアンチテーゼ




アルチザンの思想は、18〜19世紀の産業革命まで遡ります。


産業革命によって衣類は効率的に大量生産されるようになりました。しかしその一方で、手仕事による品質や個性が失われていきます。


そこで生まれたのが、クラフトマンシップを尊重する思想です。


この流れはヨーロッパを中心に発展し、後のファッション文化に大きな影響を与えました。



1980年代〜1990年代:アルチザンブランドの確立



現在私たちが認識しているアルチザンブランドは、当時熱狂的なファンを抱えていたカルペディエムを筆頭に1980年代から1990年代にかけて確立されました。


この時代に登場したデザイナー達は、単なる服作りではなく、


・哲学性

・素材研究

・独自の染色や加工技術


などを追求し、ファッションを表現手段として昇華させました。



代表的なアルチザンブランド


ここでは個人的に好きなアルチザンブランド4選をご紹介できればと思います。


先ずは冒頭から登場しているアルチザンブランドの始祖C DIEM(カルペディエム)です。


C DIEM(カルペ ディエム)


1998年、イタリア出身のデザイナー、マウリツィオ・アルティエリ氏によって設立されました。


ブランド名である「Carpe Diem」はラテン語で「今この瞬間を生きる」という意味を持ち、その思想は服作りにも強く反映されています。


無名性と作品性


カルペディエムの大きな特徴は、ブランドとしての自己主張を極限まで排除している点にあります。


・ブランドタグを極力見せない

・ルックや広告をほとんど発表しない

・販売方法すら限定的


といった姿勢は、現代ファッションにおいて非常に異質な存在でした。


しかしその匿名性こそが、純粋に「服そのものの価値」を際立たせる結果となり、多くのファッション関係者やコレクターから高い評価を受けています。


革新的な製品加工


カルペディエムを語る上で欠かせないのが、徹底した素材加工です。


特にレザー製品は非常に評価が高く、


・製品染め(ガーメントダイ)

・一点ずつ異なる風合い

・着用による劇的な経年変化


といった特徴を持っています。


中でもホースレザーを使用したブーツやジャケットは、アルチザンレザー文化を象徴する存在として知られています。


アルチザンブランドへの影響


カルペディエムは、その後のアルチザンブランドに多大な影響を与えました。


現在高く評価されている、

・Carol Christian Poell

・Layer-0

・m.a+

といったブランドにも、その思想は色濃く受け継がれています。


アルチザンファッションにおける「レザー文化」や「経年変化を楽しむ価値観」を確立したブランドの一つと言えるでしょう。


現在の評価


カルペディエムはブランドとしての活動期間が比較的短かったこともあり、現存するアイテムはヴィンテージ市場でも非常に希少性が高くなっています。


単なるアーカイブとしてではなく、現代においても着用可能な完成度を持つ点から、現在もコレクターやファッション愛好家から強い支持を受け続けています。



m.a+ (エムエークロス)


エムエークロスは、元々カルペディエムで主にレザーのプロダクトを扱っていたマウリツィオ・アマディ氏が手掛けるファッションブランドで、2006年に立ち上げられました。


アルチザンブランドの中でも主に人体工学に基づくパターン(アナトミカルパターン)を使用し、洋服作りをしております。


また、極限まで縫う場所を減らすことにより、体に沿った着心地を得ることができます。


・スタイリッシュで尚且つ退廃的。

・すべて、イタリアのアトリエにてハンドメイドで

 製作されるアイテム

・素材やパターン、染め。レザー作りなども一貫し

 て自社で行なわれている狂気性


ちなみに私、平出もエムエークロスのデニムとシャツを所持していますが、体に沿う繊細なパターンながらも不思議と窮屈さなどは感じておりません。むしろセカンドスキンと言わんばかりの着心地です。



Carol Christian Poell(キャロル クリスチャン ポエル)


アルチザンブランドの中でも、特に実験性が高いブランドとして知られています。


・独自開発のレザー加工

・人体構造を意識したパターン設計

・徹底した生産管理


など、服作りを研究分野にまで昇華させたブランドです。


作品のような存在感から、熱狂的なファンを持つブランドでもあります。


過去のショーで川に服を着たモデルが流れ続けている演出をして話題にもなっていましたね。


Geoffrey B. Small(ジェフリー B スモール)



イタリアの職人と共に製作される、極めてクラフト性の高いブランドです。


特にテーラードに定評がありジェフリー B スモールが打ち出すプロダクトには唯一無二さと、どこか美しい佇まいが共存しているように感じます。


・天然染料の使用

・伝統的な縫製技術

・小規模生産


といった点に強いこだわりを持ち、サステナブルファッションの先駆けとしても評価されています。



アルチザンブランドが支持される理由



1. 一点物に近い価値

同じ製品でも個体差が存在するため、量産品にはない特別感があります。


2. 長く着用できる品質

素材選びから縫製、染色まで徹底しているため、経年変化を楽しめるアイテムが多いのも特徴です。


3. 服を“背景ごと”楽しめる

どの地域の職人が、どの工程で制作したのか。

アルチザンブランドは、衣服のストーリーそのものを楽しめる存在でもあります。



まとめ


アルチザンブランドとは、単なるファッションではなく、思想や文化を纏う行為とも言えるジャンルです。最早アートを身体に纏う感覚に近いのかもしれません。


効率やトレンドが重視される現代において、手仕事による温度を感じられる存在は、むしろ新しい価値として再評価されています。


服を“消費するもの”から、“共に時間を過ごすもの”として楽しみたい方にとって、アルチザンブランドは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

自身と共に生き、その生き様を共にすることができるプロダクトとも言えます。


次回のブログは日本のアルチザンブランドについてご紹介できればと思います。


では、また。


 
 
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