いい服ってなんだろう?
- Keiya Otsuka

- 2月19日
- 読了時間: 3分
僕たちは古着屋ですが、古いからという理由でその服が「いい服」だと思っているわけではありません。
ただ、服にしろ建築にしろ、時間を超えて残っているモノには少なからず「残されてきた理由」があり、そういう意味で現代まで残っている古着には一定の信頼を置いています。
ブランドだから、流行だから、自分に似合う服、思い出のある服…
人の数だけ「いい服」の定義は違うと思います。
答えを無理に出すならば、
「プロダクトとして完成されているか」が自分の中での一つの答えだと思っています。
それは服は"着るためのモノ"であるからです。
そして服におけるプロダクトの質を左右するのは3つしかありません。
僕の考える「いい服」の特徴をまとめてみました。
1. 縫製
縫製を見ると、その服の“寿命”が分かります。
具体的にチェックすべきポイントは、
①ステッチ幅が均一か(ガタついていないか)
②縫い代がロック処理だけでなく、折り伏せやパイピング処理されているか
③ポケット口・股・脇など負荷のかかる部分が補強されているか
例として、よくデザインが注目されがちなCOMME des GARÇONS ですが、そのシャツは縫製の精度が非常に高く、洗濯を重ねても型崩れしにくい。


タグには一着ずつ縫製の責任者名が刻まれることからも、このブランドのモノづくりに対する姿勢がうかがえます。
いい縫製とは「壊れにくい」だけでなく、
着続ける前提で設計されていることです。
古着で言えば、10年以上前の個体でも縫い目が生きているかどうかが一つの基準になります。
2. 素材
素材は高級な天然繊維のものから化学繊維、混紡まで幅広くあります。天然繊維が風合いに優れるのは言うまでもありませんが、それだけで判断するのは少し勿体無いと思います。「触れば分かる」は半分正解で、半分間違いです。
本当に見るべきは
①繊維の密度(スカスカでないか)
②生地の戻り(伸びたあと戻るか)
③洗濯後の変化 です。
例えばISSEY MIYAKE はポリエステル※を積極的に用います。(※シワ、速乾性など機能には優れるが風合いには劣り、安価とされる)
しかしISSEY MIYAKEのポリエステルは立体構造を持たせ、構造的な強度を持たせるとともにプリーツをデザインに昇華しています。その密度は天然繊維にも劣らず、ポリエステルの強みである安定性も最大限活かしています。
一方で、古着のデニムやミリタリーウェアは
コットンの打ち込みが強く、洗い込むほどにアタリや色落ちが出る。
つまり「いい素材」とは必ずしも高級素材を指しません。時間経過に耐える素材のことです。
買った瞬間がピークの服は、長く残りません。
3. シルエット
服はハンガーにかけている時ではなく、「着たとき」に評価すべきです。
具体的には
横から見たときのバランス
肩の落ち方
袖の収まり
裾の広がり方
例えばCOMOLI は一見シンプルですが、着ると独特の空気感が出ます。それはパターン(型紙)が優れているから。

いいシルエットとは、体型を誤魔化すことではなく自然に整えてくれる設計です。
有名なブランドでなくても「いい服」はあると思います。
ただ一つだけ確かなのはいいモノを作るというのは、普通の作り方の何倍も時間と労力を必要とします。
大勢の人の力でできた服、これも「いい服」と言えるかもしれません。


