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Yohji Yamamotoの思想


本日は私、平出が最も愛用しているドメスティックブランド、Yohji Yamamotoについてご紹介します。


日本のモードファッションを語るうえで欠かすことのできない存在が、山本耀司です。


彼の服は、派手さや装飾性とは無縁です。

しかし、その静かな佇まいの中には、ファッションの常識を覆してきた強烈な思想が宿っています。


ヨウジヤマモトは「美しい服」を作るブランドではありません。「人間がどう生きるか」を服で語るブランドです。


山本耀司は当時のインタビューで自身のブランドの最終形態とは何か。と問われた際、


〝ノマード〟


と答えたそうです。


ノマードとは主に中央アジアで生活をしている遊牧民のことです。

彼らは草や木、食糧などを求めて家畜と共に定住せずに生活をしています。

つまり彼らはすべての財産を身につけて生活をしています。


それがYohji Yamamotoの根幹にあるかもしれないですね。


本記事では、ブランドの歴史だけでなく、ヨウジが持つ哲学、服作りの特徴、そして各ラインが持つ意味まで深く掘り下げてご紹介いたします。



Yohji Yamamoto誕生の背景


Yohji Yamamotoは、デザイナーである 山本耀司によって1970年代に設立されました。


文化服装学院を卒業後、母が営んでいた洋裁店の影響を受けながら服作りを学んだ山本は、既存の西洋的な「身体を強調する服」に違和感を抱きます。


そこで彼は、身体を包み込むシルエットや、動きの中で完成する衣服という独自の思想を確立。

その理念を形にするためにブランドを立ち上げました。


「黒の衝撃」が変えたファッションの価値観


ヨウジヤマモトは、1981年にパリコレクションへ進出したことで世界的評価を確立しました。


そのデビューコレクションは、後に「黒の衝撃」と呼ばれる伝説として語り継がれています。


当時黒はファッション業界ではまず積極的に用いられない、"禁忌"の色でした。


パリファッションは、華やかな色彩や身体のラインを強調したエレガンスが主流でした。しかし山本耀司は、


・全身を覆うような黒の衣服

・身体を隠すオーバーシルエット

・破れやほつれを含む未完成的な表現

・装飾性を排除したミニマルな造形


という、既存の「美しさ」とは真逆の提案を行いました。


このコレクションは賛否両論を巻き起こしましたが、結果的にファッションにおける価値観を根底から覆す出来事となります。


ヨウジヤマモトの服は「着飾るための服」ではなく、

着る人間の存在や内面を表現するための服として提示されたのです。



Yohji Yamamotoの服作りの核心


身体を守る服という概念


ヨウジヤマモトの服は、身体のラインを強調するのではなく、包み込むように設計されています。


そこには、


「服は人を守るもの」


という思想があります。


過度に身体を露出させないデザインは、着る人の個性や人格を尊重する姿勢でもあります。



黒という色の哲学


ヨウジヤマモトにとって黒は単なるカラーではありません。

黒は


・装飾を削ぎ落とす

・素材やシルエットを際立たせる

・感情や時間を吸収する


という意味を持っています。

そのためヨウジの黒は、単調ではなく、素材や光の当たり方によって複雑な表情を生み出します。



パターン技術の革新性


ヨウジヤマモトの最大の特徴の一つが、パターン設計です。


布を身体に沿わせるのではなく、空間を含めて設計することで、着用時に独特のドレープが生まれます。


・余白を活かした立体構造

・動きに合わせて変化するシルエット

・左右非対称の構築


これらは単なるデザインではなく、「服と身体の関係性」を再定義した技術と言えます。


次はYohji Yamamotoの各ラインの説明です。



Yohji Yamamoto


最も純粋な思想表現


メインラインは、ブランドの哲学を最も強く表現するコレクションです。


パリコレクションで発表されるこのラインは、衣服と芸術の境界線に位置しています。


特徴として挙げられるのは、


・大胆なレイヤード構造

・空気を含むドレープ

・手作業的な素材加工


これらは、身体を装飾するのではなく、身体の存在そのものを拡張する服として成立しています。



Y’s


ヨウジヤマモトの思想を日常へ


Y’sはブランド最初期から続くラインであり、ヨウジの原点とも言える存在です。


メインラインに比べるとリアルクローズ寄りですが、思想性はそのまま受け継がれています。

特徴は、


・機能性を重視した設計

・天然素材中心の生地選び

・静かな存在感を持つシルエット


装飾を削ぎ落としたミニマルな服作りは、日本的な美意識を強く感じさせます。



Yohji Yamamoto POUR HOMME


男性像を再定義したメンズライン


POUR HOMMEは、ヨウジヤマモトのメンズウェアの核心を担うラインです。


従来のメンズ服が持つ「強さ」や「威厳」を解体し、


・柔らかさ

・詩的な表現

・余白のあるシルエット


を取り入れています。


ロング丈のジャケットやワイドパンツは、男性服に新しい精神性をもたらしました。


また、詩やメッセージを用いたコレクションは、人間の内面を映し出すような表現として評価されています。



discord Yohji Yamamoto


静寂を感じさせるレザーコレクション


discordはバッグや革小物を中心に展開されるラインです。


装飾を排除したフォルムと、上質なレザー素材によって、ヨウジヤマモトの思想を日常に落とし込んでいます。


実用性を持ちながら、工芸品のような完成度を持つ点が特徴です。



Y-3


モードと機能服の融合


Y-3はスポーツウェアとハイファッションを融合させたラインです。


テクニカル素材や機能性を取り入れながら、ヨウジらしい黒の世界観と独特のシルエットを維持しています。


スポーツウェアを単なる機能服ではなく、「スタイル」として成立させた点で、ファッション史に大きな影響を与えました。



Yohji Yamamotoが残した影響



ヨウジヤマモトは、ファッションの美しさの基準を変えました。


・身体を強調しない美学

・黒という色の再評価

・ジェンダーの境界を曖昧にする表現


これらは現在のモードファッションにも大きな影響を与え続けています。



まとめ


Yohji Yamamotoは、服を売るブランドではなく、思想を提示するブランドです。


メインラインは芸術性を表現し、

Y’sは日常性を担い、

POUR HOMMEは男性像を拡張し、

discordは生活に寄り添い、

Y-3は機能性を拡張する。


それぞれが異なる角度から、「服とは何か」という問いに向き合っています。


ヨウジヤマモトの服は、流行に左右されません。

着る人の時間と共に変化し、その人の生き方に寄り添い続けます。


それこそが、このブランドが長年愛され続けている理由なのかもしれません。

ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)は、コムデギャルソン、ヨウジヤマモトと並び、日本を代表するファッションブランドのひとつです。


イッセイミヤケは、単なるデザイン性だけでなく、服の構造・素材・技術開発の面で評価されています。それまで注目されていなかった日本のファッションを、世界的な立場へと押し上げたブランドでもあります。



三宅一生とイッセイミヤケ


三宅一生
三宅一生

三宅一生は広島での自身の被曝の体験から、


「破壊ではなく、創造から生まれる洋服」


を目指します。この体験は自身のデザイナーとしての根幹となる思想でした。


パリ、ニューヨークでデザインを学んだのち日本に帰国した三宅は、1970年に「三宅デザイン事務所」を設立。


1971年春夏シーズン、のちに伝説のブランドである「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」をスタートさせました。


"一枚の布(A Piece of Cloth)"


イッセイミヤケの根底にある考え方は 「一枚の布」 という思想です。



布をできるだけ無駄なく使い、身体の動きに合わせて形が変化する服を作ること。一枚の平面的な布から、切らず・無駄を出さず、立体的な衣服を生み出すという発想。


それは「いままでにあった洋服とは全く逆の作り方」でした。


西洋服飾の多くは、型紙を作り、布を細かく裁断し立体に縫い合わせを行います。

「分解→再構築」の考え方です。


これに対してイッセイミヤケは真逆で

「布をそのまま生かす」手法を取ります。


なるべく切らない、布の面積をそのまま活かす、布が身体に沿って自然に立体になるという方法を追求しました。



これは自身のルーツである日本の衣服文化から着想を得たものです。


イッセイミヤケの洋服は、着物のような一枚の布と同じ構造を持っています。縫製が極端に少なく、大きな一枚の布で体を覆うもの、それが三宅一生の辿り着いた答えでした。


日本人ならではの「身体と、それをおおう布、その間に生まれる「ゆとり」や「間(ま)」の関係を追求する。」


この考え方が、プリーツ技術や無縫製ニット、立体構造のデザインへとつながっています。


ISSEY MIYAKE の表現する世界


イッセイミヤケには、思想を異なる角度から表現する複数のラインがあります。



ISSEY MIYAKE



メインラインであるレディースのコレクション。三宅一生の原点でもあり、最も実験的でアート性の高いラインです。一枚の布、であるアイテムを始め、素材開発や立体構造など、ブランドの研究成果が反映されています。



PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(プリーツプリーズ)



イッセイミヤケを象徴するプリーツ加工のラインです。


  • 軽量

  • シワにならない

  • 洗濯可能

  • 伸縮性が高い

という機能性を持ち、日常着としても非常に優れています。


またこのプリーツのデザインは機能性だけでなく、イッセイミヤケを象徴する意匠として幅広く認知されることとなりました。



HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(オムプリッセ)



プリーツプリーズのメンズラインです。

ゆったりとしたシルエットとドレープが特徴で、体型を選ばず美しく着用できます。



BAO BAO ISSEY MIYAKE(バオバオ)



三角形のパーツで構成されたバッグラインです。

持つことで形が変わる、構造デザインの代表例です。


A-POC(エーポック)



コンピューター編み機で服の形を編み出す技術です。裁断や縫製をほとんど必要としない革新的なプロジェクトです。



イッセイミヤケの生んだ名作


イカコート



ブランド初期からあるこちらのコートは衝撃的なデザインで一躍話題となりました。


三宅の"一枚の布"の思想が反映された、大きな布で体をすっぽりと覆うコート。腕を下ろした時には自然と身体に沿うシルエットへと変化します。


人間の可動域に合わせた機能性と新しい衣服デザインへの追求が評価されている名作であり、当時のコレクションは非常に希少価値の高いものとなっています。


プリーツシリーズ



プリーツといえばイッセイミヤケのイメージが強いでしょう。加工でプリーツを施す独自技術により、身体の動きに追従する服です。


このプリーツは一時的な加工ではなく、経年はあるものの半永久的に持続します。


プリーツの立体とそこに生まれる余白。三宅一生の目指した洋服を体現するデザインです。


95-96AW パラシュートボンバージャケット



アーカイブの中で特に人気があるのがこちらのアイテム。ミリタリージャケットをベースにしたデザインと、イッセイミヤケのデザインが融合しています。現在ではなかなかお目にかかれない希少な一着です。


追悼とこれから


三宅一生氏は2022年に永眠されました。三宅氏が日本、そして世界へと与えた影響はとても大きいもので日本人の誇りだと思います。


残念なことに、彼のデザインした洋服を入手できるのは、過去のアーカイブと呼ばれるアイテムのみです。


しかしながら彼の作品と思想は生き続けます。

過去の名作たちを懐かしみつつ、新しい作品、新しいイッセイミヤケに期待したいと思います。


拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。


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