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灰草というブランドについて
灰草というブランドについて

灰草は、静岡県を拠点とするアルチザンブランドです。


少数精鋭でブランド自体を運営しているため、オンラインショップや記事などのメディアへの露出がほとんどありません。

敢えてしないのではなく、服を作ることが忙しすぎてできないとのことでした。


また、灰草は大量生産とは対極にある、小規模生産・手仕事・経年変化を前提とした服作り。

その世界観は、単なる“服”というよりも、時間を纏うプロダクトに近い存在です。



ブランドの立ち位置
ブランドの立ち位置

灰草は、いわゆるパリモードの文脈というより、


・アルチザン

・ポストアポカリプス的世界観

・退廃美

・ミリタリーやワークの再解釈


といった空気感を持つブランドです。


日本のモード文脈で言えば、ヨウジやギャルソンの思想を通過した先にある実験的クラフト寄りの立ち位置とも言えます。


灰草は既存のラインの他にもash to ashというさらに実験的なラインも存在しております。


その話はまた次回にでも。


デザインの特徴
デザインの特徴

灰草の服には、強い加工感と物語性があります。


代表的な要素は、


・泥染めや特殊加工による褪色

・断ち切りやほつれを活かした縫製

・立体的かつ不均衡なパターン

・厚みのある天然素材使い


新品でありながら、まるで長い時間を経たような質感を持っているのが特徴です。


それは単なるダメージ加工ではなく、「経年変化を想定した完成形」と言えるでしょう。


また、灰草はデザイナーが自ら紙に手書きでパターンを引き、生地を裁断し縫製まで行います。


藍染で使う染料は全てアトリエで育てたものを使っており、さらに今後はコットンまで自社製のものにするという話もあるようです。



真鍮無垢のボタンは、燻をかけて磨いての工程を1週間以上かけて行うこともあります。


•商品紹介


現在出品している〝ワイドアンクルパンツ〟について紹介します。



ワイドアンクルパンツ


このパンツはとても独特な形をしております。


•サルエル型に近い股上の深さ

•そして文字通り股下はくるぶし丈

•太ももにかけて広がっているシルエット


履いてみて本当に良さがわかる一着です。


素材もすごく独特です。

製品表示には


•アンゴラ

•コットン

•レーヨン


を使用しています。


また、染色方法も独特です。


•柿渋染

•鉄漿水(かねみず)

後一つは公開されておりません。


このようにして生み出されるワイドアンクルパンツは初めは岩のように硬く、履いていると正直とても痛いです。

しかし、履き込むにつれどんどん柔らかくなり唯一無二の経年変化を起こしてくれるのも素敵です。


また、このパンツはブランド初期に使用された生地でもう2度と同じものは生み出されることはありません。



•アルチザンとしての思想



灰草の魅力は、トレンドとは無縁の姿勢にあります。


・流行を追わない

・シーズンテーマに依存しすぎない

・着る人の生活と共に変化する


こうした服作りは、大量消費型ファッションとは対極の存在です。


着込むことで風合いが深まり、身体に馴染み、唯一無二の一着へと変化していきます。

  • 2月15日

1986年、パリコレクションに突如現れた6人のデザイナー。豪華さやブランドの権威が支配していた当時のファッション界において、彼らは一夜でファッションの見方そのものを変えました。


その6人は後にこう呼ばれます。


"アントワープ6(Antwerp Six)"


"アントワープ6"とは?


全員がベルギー王立アントワープ芸術アカデミーの出身。


アントワープ芸術アカデミーはベルギーに位置する、ヨーロッパ最古の芸術学校。現在のバレンシアガを率いるデムナ・ヴァザリアや、マルタン・マルジェラ、DIORのクリス・ヴァン・アッシュなどのデザイナーを輩出する、世界的な服飾アカデミーです。


アントワープ王立芸術アカデミー
アントワープ王立芸術アカデミー

メンバーは以下の6名。後に全員が世界的なデザイナーとなります。


  • Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)

  • Dirk Bikkembergs(ダーク・ビッケンバーグ)

  • Walter Van Beirendonck(ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク)

  • Ann Demeulemeester(アン・ドゥムルメステール)

  • Dirk Van Saene(ダーク・ヴァン・セーヌ)

  • Marina Yee(マリナ・イー)

 

1986年、彼らはワゴン車に服を積み込み、パリへ向かいました。


ここから歴史が動きます。


1. Dries Van Noten|柄と色彩、レイヤードの魔術師


ドリス・ヴァン・ノッテン
ドリス・ヴァン・ノッテン

ドリス・ヴァン・ノッテンは高級ブティックの一家に育ち、幼少期から洋服のデザインに囲まれていました。幼少から培われたファッションのセンス、デザインの手法の広さはアントワープ6の中でも随一です。



ドリスは6人の中でも最も「テキスタイル」に長けたデザイナー。民族衣装、クラシック、ミリタリー、エスニック、フォーマルを自在にミックスし、独自のレイヤードを生み出します。


色彩や柄のデザインに注目されがちですが、シンプルな素材を活かしたアイテムやテーラリングにも定評のあるブランドです。


ドリスは広告も打たず、長年の間プロダクトの魅力だけで現在まで多くの支持を受けてきました。単なるラグジュアリーブランドとは一線を画す、実力あるブランドです。




過去のアーカイブも魅力溢れる作品が多い為ファンも多く、私自身も大好きなブランドです。ぜひ探してみてください。


2. Dirk Bikkembergs|男性的美しさの追求


ダーク・ヴィッケンバーグ
ダーク・ヴィッケンバーグ

ヴィッケンバーグはアントワープ王立芸術アカデミーでの卒業コレクションにて、当時史上最高の97点を叩き出したデザイナーです。


ベルギー最高のデザイナーである、カネットドールも受賞しています。一言で言えば天才デザイナーでしょう。


ちなみに6人のうち、日本で最初に知られたのもヴィッケンバーグでした。



ブランドの特徴


ヴィッケンバーグの作る洋服は、「男らしさ」を再定義しました。ミリタリー、ワーク、スポーツを融合させたデザインが特徴です。


レザーやメタルのような重厚な素材を用いながら、しかし軽やかに、男性的・構築的な美しさを追求しました。


無骨でありながらシャープであり、決して野暮ったくはならないバランス感覚が絶妙です。男らしい洋服が好みの方にはハマるブランドかと思います。



彼のデザインは、後のテックウェアやミリタリーモードの源流を生みます。後進のデザイナーたちに対しても大きな影響を与えた人物です。


3. Walter Van Beirendonck|社会へのメッセンジャー


ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク
ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク

6人の中で、最もポップかつ前衛的なデザインをする人物です。世界中の音楽や芸術、文学から影響を受けたデザイナーであり、強烈な世界観とメッセージ性が特徴。服をキャンバスにして社会へメッセージを発信します。


一言で言えば奇想天外デザイナーです。


また、ロックバンドU2のコンサート衣装を担当するなど、カルチャー方面にも深い繋がりがあります。


単なるデザイナーだけでなく指導者としての一面も。著名なデザイナーである、ラフ・シモンズやクレイグ・グリーンなどを輩出しました。


現在も母校である王立芸術アカデミーの教授を務めています。




奇抜なデザインに目が行きがちですが、シルエットや生地の使い方もなかなか面白いです。


supremeやstussyなど、後進のストリートブランドに大きな影響を与えました。


4. Ann Demeulemeester|黒の詩人


アン・ドゥムルメステール
アン・ドゥムルメステール

アンはドリスの後輩に当たる人物です。6人のうち、黒や白の無彩色によるデザインを最も得意としています。


音楽との結びつきも深く、特にPatti Smithから受けた影響は広く知られています。反骨精神や詩的な感性といった要素は、コレクション全体の空気感にも通じています。



モノトーンを中心に構成されながらも、その表現は決してミニマル一辺倒ではなく、どこか退廃的で繊細な空気をまとっています。


細く縦に流れるシルエット、揺れ動くドレープ、繊細なレイヤード。「衣服は生き物」という考えのもと、ロングシャツやジレ、タイトなパンツを重ねることで生まれる静かな緊張感は、このブランドならではの美学です。



また、ウールやシルク、リネンといった自然素材を多用し、素材本来の風合いを活かした仕立ても大きな魅力です。


ヨウジヤマモトやマルジェラと並び、"空気を纏う服"と称されます。


5. Dirk Van Saene|川久保玲が認めたアーティスト


ダーク・ヴァンセーヌ
ダーク・ヴァンセーヌ

ヴァンセーヌは6人の中でも随一のアーティストです。洋服以外の芸術活動も行っています。


これはなんでしょう、
これはなんでしょう、

正直この作品はよくわからないのですが、彼の独創性は伝わるかと思います。


彼1人で全てのデザイン、製作を行う為大々的なプロモーションや生産は行いません。その為あまり情報が出てこないブランドでもあります。


染色や素材実験に優れ、ハンドペイントや独自染色、クラシックを崩した不規則なパターン、素材の質感を前面に出す服作りが特徴。





あの川久保玲が認めたブランドとしても有名で、日本ではコムデギャルソンでの取り扱いもあったようです。


生産量がそもそも少なく、この中では最も入手の困難なブランドではないでしょうか。


知る人ぞ知る存在ながら、デザイナーからの評価が非常に高いブランドです。個人的にはとても気になっているブランドの一つです。


6. Marina Yee|再解釈と再構築


マリナ・イー
マリナ・イー

マリナ・イーは既存の衣服を再構築する手法や、折り・重なりによる立体的なフォルムで独自の世界観を築きました。


商業性よりも思想や姿勢を重んじるスタンスは、現在のファッションシーンにおいても特異な立ち位置を保ち続けています。


近年では「再解釈」「再構築」をテーマに、過去の衣服に新たな文脈を与えるプロジェクトも展開。単なるリメイクではなく、時間の経過や記憶までもデザインに取り込む姿勢が特徴です。




現代における、ヴィンテージをデザインソースとする流れは彼女の影響を強く受けています。そういう意味ではデザインの上で、日本のドメスティックブランドの原型にあたる存在とも言えるかもしれません。少なくとも影響を受けていないデザイナーはいないでしょう。



二重フロントのトレンチコート、とても好みのデザインです。


7.幻の7人目 |服の概念を破壊した男



彼は同じアントワープ出身で、同時期に在籍していました。思想も極めて近く、再構築、匿名性、反モード的姿勢はアントワープ6と強く共鳴しました。


しかし、彼はアントワープ6とは別の進路を取り、共同での活動は行っていなかったようです。


のちに現代ファッションへの影響力という意味では、最も大きい存在となりました。


"マルジェラ"といえばわかる人も多いのではないでしょうか。


マルタン・マルジェラについては長くなってしまうので、また別の記事でご紹介します。


アントワープ6が残したもの


  • 服は綺麗であるべき

  • 高級素材こそ価値

  • ブランドロゴが価値


アントワープ6は、このような洋服における「ラグジュアリーな価値」を真っ向から否定しました。洋服の「真のデザイン」「美しさ」 「価値」を追求しました。


現代では気軽に楽しめるファストファッション、ラグジュアリーなファッションに溢れ、この価値観は主流にはなっていません。


しかしながらその問いは、いまも私たちに投げかけられているように思います。


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