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COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)について



ファッションの歴史を語るうえで、日本発のブランドが世界の価値観を覆した瞬間は幾度か存在します。


その中でも、日本三大ブランドの内の一COMME des GARÇONSは間違いなく最も象徴的な存在と言えるでしょう。


既存の「美しさ」や「完成された服」という概念を破壊し、新たな表現を提示し続けてきたブランド。その思想は、単なる服作りを超え、文化や哲学の領域にまで影響を与えています。


本日は、そんなコム デ ギャルソンの設立背景から、現在展開されている各ラインについてご紹介いたします。



COMME des GARÇONSの設立と歴史



コム デ ギャルソンは、1969年に川久保玲によってスタートしました。ブランド名はフランス語で「少年のように」という意味を持ちます。


当初はスタイリング事務所として活動を始め、1973年に正式なブランドとして法人化されます。そして1975年には東京コレクションで初めてコレクションを発表しました。



パリ進出と“黒の衝撃”



1981年、コム デ ギャルソンはパリ・コレクションに進出します。この時発表されたコレクションは、ファッション界に大きな衝撃を与えました。


・黒を基調とした色使い

・穴やほつれをあえて残したデザイン

・非対称で構築的なシルエット


これらは当時のヨーロッパにおける「エレガンス」や「完成度」を重視する価値観と真逆の存在でした。


現地メディアからは「広島シック」と揶揄されながらも、その革新性は瞬く間に評価され、コム デ ギャルソンは前衛ファッションの象徴として世界に認知されるようになります。



COMME des GARÇONSの思想



コム デ ギャルソンの特徴は、単なるトレンド提案ではなく、「服とは何か」「美しさとは何か」

という問いを投げかけ続けている点にあります。


川久保玲は、完璧に整ったデザインよりも「違和感」や「未完成性」に価値を見出し、着る人の感覚を揺さぶる服作りを行っています。


その哲学は現在でもブランドの核として存在しています。



各ラインの特徴


コム デ ギャルソンは非常に多くのラインを展開しており、それぞれ思想やターゲットが明確に分かれています。


ここまで前置きが長くなってしまいましたが、いくつかに厳選したラインについて説明していきたいと思います。


•COMME des GARÇONS



服ではなく「思想」を表現するコレクション


メインラインは、川久保玲のクリエーションの核心とも言える存在です。


パリ・コレクションで発表されるこのラインは、単なる衣服制作という枠組みを超え、「身体」「空間」「概念」といったテーマを服を通して表現しています。


特徴的なのは、毎シーズン、明確なテーマを提示する点です。しかし、そのテーマは決して説明的ではなく、見る側・着る側の解釈に委ねられています。



身体の再構築というアプローチ


コム デ ギャルソンのメインラインを語るうえで欠かせないのが、「身体との関係性」です。


川久保玲は、服を身体に合わせるのではなく、身体そのものを再定義する服を提示してきました。例えば、


・意図的に膨らみを作るパターン

・歪みや非対称を強調する構造

・服と空間の境界を曖昧にするフォルム


こうした手法は、着用者のシルエットそのものを変化させます。


特に1997年のコレクション(通称「Body Meets Dress, Dress Meets Body」)は象徴的で、身体の各所にパッドを配置したデザインは、ファッションの概念を大きく揺さぶりました。



素材と技術への独自解釈


メインラインでは、素材使いにも独自の哲学が見られます。


・伝統的なテキスタイルの再解釈

・異素材の大胆な組み合わせ

・製品加工による偶発性の導入


工業製品としての完成度を追求するのではなく、むしろ不均衡や偶然性を価値として取り込む姿勢が特徴です。


芸術との境界線


このラインはしばしば「ウェアラブルアート」と称されます。


しかし川久保玲は、自身をアーティストではなくデザイナーと位置づけています。このスタンスこそが、コム デ ギャルソンの魅力であり、服として成立させながら芸術性を内包する独特のバランスを生み出しています。


•COMME des GARÇONS HOMME PLUS



メンズにおける最前衛表現


1984年にスタートしたHOMME PLUSは、メンズラインにおける最高峰のコレクションです。


通常のメンズウェアが持つ「実用性」や「男性らしさ」という枠組みを解体し、男性服の新たな可能性を提示し続けています。


男性像の再定義


HOMME PLUSは、単にデザインが前衛的なだけではありません。


このラインは、常に「男性とは何か」「男性服とは何か」という問いを投げかけています。


時にはフェミニンな装飾を取り入れ、時には制服的要素を誇張し、あるいはクラシックテーラリングを解体するなど、男性性そのものを揺さぶる表現が特徴です。


テーラリングの解体と再構築


HOMME PLUSを語るうえで重要なのが、テーラリングの扱い方です。


従来のメンズスーツは、身体を整えるための構造を持っています。しかしHOMME PLUSでは、その構造をあえて崩します。


・肩線のズレ

・異なる素材のパネル切替

・意図的なアンバランス


これらはクラシックの否定ではなく、クラシックを理解したうえでの再構築と言えます。


強いテーマ性とストーリーテリング



HOMME PLUSは、シーズンごとに極めて強い物語性を持ちます。


宗教、反戦、ユースカルチャー、社会構造など、多様なテーマが扱われ、ランウェイ全体が一つの世界観として構築されます。


その表現は時に過激でありながら、メンズファッションに新たな精神性を持ち込んできました。


実験性と着用性のバランス


メインラインに比べると、HOMME PLUSはまだ「服」としての実用性を残しています。


そのため、前衛性を持ちながらもリアルクローズとして取り入れやすく、多くのファッション愛好家から支持されています。


•COMME des GARÇONS HOMME



日常に落とし込まれたギャルソンの思想


COMME des GARÇONS HOMMEは1978年にスタートしたメンズラインです。


前衛的な表現を行うメインラインやHOMME PLUSに対し、HOMMEはリアルクローズとしての完成度を重視しています。ギャルソンの思想を持ちながら、日常に自然と溶け込むバランス感覚が最大の特徴です。


トラッドとワークを基盤にした服作り


HOMMEは、クラシックなメンズウェアをベースに構築されています。


・テーラードジャケット

・ワークウェア

・ミリタリー要素

・トラディショナルなシャツやパンツ


一見するとオーセンティックなアイテムですが、シルエットの調整や素材選びによって、ギャルソンらしい解釈が加えられています。


派手な装飾ではなく、パターンや素材で個性を表現する点が特徴です。


素材への強いこだわり


HOMMEは特に素材開発に定評があります。


天然素材を中心に、日本の織物技術や製品加工を積極的に取り入れ、着用を重ねることで表情が変化する服作りを行っています。


この「経年変化を楽しむ」という価値観は、アルチザン的な魅力にも通じる部分があります。


•COMME des GARÇONS SHIRT



日常に落とし込まれたギャルソンの遊び心


COMME des GARÇONS SHIRTは、1988年にスタートしたメンズラインです。


名前の通りシャツを中心に展開されるラインで、ギャルソンの思想を比較的日常に取り入れやすい形で表現しています。


SHIRTラインは、川久保玲がブランド全体のディレクションを行いながら、社内デザインチームによって制作されています。


そのため、HOMME PLUSのような強いコンセプト主導ではなく、ギャルソンらしい実験性を保ちつつ、リアルクローズとしての完成度が重視されています。


シャツを軸にした再構築


SHIRTラインの最大の特徴は、クラシックなシャツをベースにしながら、独自の再構築を行っている点です。代表的な手法としては、


・異素材の切替

・複数の柄を組み合わせたパッチワーク

・シルエットの微妙な変化

・大胆なグラフィックやプリント


一見ベーシックでありながら、必ずどこかに違和感や遊びが存在します。


•COMME des GARÇONS HOMME DEUX


クラシックテーラリングを再解釈したメンズライン


COMME des GARÇONS HOMME DEUXは、1987年にスタートしたメンズラインです。


HOMMEがワークやカジュアルを基盤としているのに対し、HOMME DEUXはテーラリングを中心に展開されるラインとして位置付けられています。


デザインとディレクション


HOMME DEUXも、ブランド全体と同様に川久保玲のディレクションのもと、社内デザインチームによって制作されています。


伝統的なメンズスーツをベースにしながらも、ギャルソン特有のパターンワークや素材選びによって、クラシックに新しい価値観を加えています。


テーラリングの再構築


HOMME DEUXの最大の特徴は、正統派のテーラリングを軸にしながら、細部に違和感を持たせるデザインです。


代表的な要素として、


・シルエットの微調整

・素材の切替や組み合わせ

・クラシック柄の再解釈

・裏地やディテールに潜む遊び


一見すると正統派のスーツでありながら、着用すると独特の個性が生まれる仕上がりになっています。


ビジネスとモードを繋ぐ存在


HOMME DEUXは、ギャルソンのメンズラインの中でも特に実用性が高く、ビジネスシーンにも取り入れやすいラインです。


それでも単なるスーツブランドにはならず、ギャルソンらしい知的なデザイン性がしっかりと感じられます。

•PLAY COMME des GARÇONS



ギャルソンの世界観を最も身近に感じられるライン


2002年にスタートしたカジュアルラインです。


フィリップ・パゴウスキーが手掛けたハートロゴで広く知られ、Tシャツやニットなど日常使いしやすいアイテムが中心となっています。


コム デ ギャルソンの世界観を、よりライトに楽しめる入口として人気を集めています。


•COMME des GARÇONS GIRL



少女性を再解釈したギャルソンのクラシック


COMME des GARÇONS GIRLは、2015年にスタートしたレディースラインです。


コム デ ギャルソンの中でも、比較的クラシカルで親しみやすい世界観を持ちながら、ブランド特有の違和感や再構築の美学が表現されています。


デザイナーについて


GIRLラインは、ブランド全体と同様に川久保玲のディレクションのもと、社内デザインチームによって制作されています。


メインラインのような強いコンセプチュアル表現とは異なり、日常性を重視しながらも、ギャルソンらしい独特の空気感を大切にしているラインです。


少女服とクラシックウェアの融合


GIRLの特徴は、「少女性」をテーマにしながらも、単なる可愛らしさに留まらない点にあります。


代表的な要素として、


・丸襟やプリーツを用いたクラシカルなデザイン

・フリルやリボンといった装飾的ディテール

・制服やトラッドスタイルからの影響


こうした要素を組み合わせることで、懐かしさと新しさが共存する独自のスタイルを生み出しています。


甘さの中にあるギャルソンらしい違和感


GIRLは一見するとフェミニンで柔らかな印象ですが、シルエットや素材の選び方には必ずギャルソンらしい個性が潜んでいます。


・ボリュームのバランス調整

・クラシック要素の再構築

・装飾と実用性の絶妙なバランス


この“整いすぎない美しさ”が、GIRLならではの魅力です。


•COMME des GARÇONS COMME des GARÇONS



「日常」と「前衛」の中間に位置するウィメンズライン


COMME des GARÇONS COMME des GARÇONSは、1993年にスタートしたレディースラインです。


通称「コムコム」とも呼ばれ、メインラインの思想を保ちながら、より日常に取り入れやすいリアルクローズとして展開されています。


デザインとディレクション


このラインも、他のギャルソンラインと同様に川久保玲のディレクションのもと、社内デザインチームによって制作されています。


メインラインほどコンセプチュアルではありませんが、ブランド特有の構築性やパターンワークはしっかりと受け継がれています。


クラシックをベースにした再構築


コムコムの特徴は、伝統的なレディースウェアをベースにしながら、ギャルソンらしい再解釈を加えている点です。


代表的な要素として、

・ジャケットやワンピースなどのクラシックアイテム

・立体的なパターン設計

・フリルや装飾を取り入れたデザイン

・モノトーンを基調としたカラーリング


女性らしい柔らかさと構築的な美しさが同時に表現されています。


メインラインとの違い


メインラインが芸術的・実験的な表現を重視しているのに対し、コムコムは日常で着用できる完成度を重視しています。


それでも単なるベーシックウェアには収まらず、シルエットやディテールにギャルソン特有の違和感がさりげなく取り入れられています。


•BLACK COMME des GARÇONS



黒を軸に再構築されたギャルソン


BLACK COMME des GARÇONSは、2008年にスタートしたラインです。


コム デ ギャルソンの中では、比較的手に取りやすい価格帯で展開されており、ブランドの世界観をより多くの人に届けることを目的として誕生しました。


デザイナーとコンセプト


BLACKラインも、他ラインと同様に川久保玲のディレクションのもと社内チームによって制作されています。


最大の特徴は、その名の通り「黒」を基調としたコレクションである点です。ギャルソンの象徴的カラーである黒を軸に、ブランドの哲学をシンプルかつ明確に表現しています。


実験性とリアルクローズの中間


BLACKは、メインラインやHOMME PLUSほど前衛的ではなく、かといって単なるベーシックウェアにも収まらない絶妙な立ち位置にあります。


主な特徴として、


・構築的なシルエット

・レイヤードを意識したデザイン

・グラフィックやプリントを用いた表現

・異素材の組み合わせ


これらの要素を取り入れながら、日常でも着用しやすいバランスに仕上げられています。


黒という色が持つ意味


コム デ ギャルソンにとって黒は単なる色ではなく、思想を象徴する要素でもあります。


装飾を削ぎ落とし、フォルムや素材の魅力を際立たせる。BLACKラインは、その哲学を最も分かりやすく体現している存在とも言えます。


COMME des GARÇONSが与えた影響



コム デ ギャルソンは、日本ブランドの国際的評価を押し上げただけでなく、ファッションにおける「概念」を拡張しました。


今までカラフルな洋服を着ていた女性達は自身に黒を纏うことで一種の装備を得たかのような。


今では当たり前かもしれませんが、当時に一人間として男女関係なく強く生きていく。そのようなマインドを広めたのもコムデギャルソンが影響しているかもしれません。


マルタン・マルジェラやヨウジヤマモトなど、多くのデザイナーに影響を与え、現在の前衛ファッションの礎を築いた存在と言えます。


また、ドーバー ストリート マーケットを通じて、次世代ブランドの発信拠点としても重要な役割を果たしています。



まとめ


COMME des GARÇONSは、単なるファッションブランドではなく、常に価値観を更新し続ける存在です。


・前衛性を追求するメインライン

・リアルクローズとしてのHOMME

・実験性を高めたHOMME PLUS

・日常に落とし込んだPLAYやSHIRT


それぞれが異なる角度からブランドの哲学を表現しています。


「服を着る」という行為を、より深く考えさせてくれる存在。それこそが、コム デ ギャルソンが長年支持され続ける理由なのかもしれません。


欧州との違いと、日本独自の服づくり


近年、「アルチザン」という言葉はファッションにおいて一つの価値基準として広く認知されるようになりました。


アルチザンとは本来、職人や工芸的な制作背景を持つものを意味します。しかしファッションにおけるアルチザンは、単なる手仕事ではなく、素材・製法・思想・時間の経過までも含めた服づくりを指します。


この概念は主にヨーロッパで発展し、キャロル・クリスチャン・ポエルやポールハーデンといったブランドによって確立されました。彼らは、大量生産とは真逆の思想を掲げ、効率ではなく理念を優先する制作姿勢を貫いています。



日本アルチザンの歴史


日本におけるアルチザンブランドの流れは、1990年代以降に徐々に形成されていきました。


背景にあるのは、日本が古くから持つ「手仕事文化」です。

染色、織物、和装、民藝など、日本では日常生活の中に職人技術が深く根付いていました。


しかし高度経済成長期以降、衣服は大量生産へと大きく移行します。そうした流れの中で、伝統技術や天然素材を見直し、現代の生活に再構築しようとするブランドが登場していきます。


これが、日本アルチザンブランドの大きな起点となりました。



欧州アルチザンとの違い

ヨーロッパのアルチザンブランドは、「個人の哲学」や「存在論」に強くフォーカスする傾向があります。


例えばポエルの作品は、衣服そのものが思想の表現であり、完成を拒否するような制作工程が特徴です。素材を極限まで加工し、着用者との関係性の中で作品を成立させる姿勢が見られます。


一方、日本のアルチザンブランドは、思想性を持ちながらも、より「生活」に寄り添う特徴があります。


・長く着続けること

・修繕を前提とすること

・文化や素材の背景を継承すること


つまり、日本のアルチザンは「衣服を通して暮らしを整える」という側面が強いと言えるでしょう。


ファッションにおける「アルチザン」とは、単なる職人技術を指す言葉ではありません。素材、製法、思想、そして時間そのものをデザインに取り込む姿勢を意味します。


ヨーロッパではキャロル・クリスチャン・ポエルやポールハーデンなどが象徴的存在として知られていますが、日本にも独自の哲学を持ったアルチザンブランドが存在しています。


日本独自の価値観や美意識を背景に展開されるブランド3選



junhashimoto(ジュンハシモト)



機能美と職人技の融合


ジュンハシモトは2008年に橋本淳氏によって設立されたブランドです。イタリアンテーラリングの美しさと、日本人の体型やライフスタイルに寄り添った設計を融合させている点が特徴です。 


ブランドを象徴するのは、立体的なシルエットと高い可動性です。美しいラインを保ちながらも、日常生活の動作を妨げないパターン設計が徹底されています。


また、ジュンハシモトは「実用性」を非常に重視しています。

単に美しい服ではなく、着る人の生活に自然に溶け込むことを前提として作られています。


例えばブランドの代表的なアイテムであるレザージャケットは、着用を重ねることで身体に馴染み、個体差が生まれていきます。この経年変化もデザインの一部として捉えられています。


ジュンハシモトのデザイナー橋本淳氏は元々前ブログで紹介させていただいたカルペディエムで働いていたということもあり、繊細で体に沿う綺麗なシルエットの服以外にも「ウォッシャブルインナーライダース」などの当時の意匠を感じさせる服も製作しております。



ジュンハシモトは、クラシックなテーラリングを現代的に再構築する、日本型アルチザンブランドの一つと言えるでしょう。



MITTAN(ミッタン)


民族衣装から生まれる服作り


MITTANは三谷武氏によって設立されたブランドで、「世界に遺る衣服や生地」を現代に継承することをテーマとしています。


ブランドの最大の特徴は、世界各地の民族衣装や伝統素材を研究し、それらを現代の生活に適応させている点です。


MITTANは単なるデザインブランドではなく、衣服の背景にある文化や技術そのものを継承する活動も行っています。


使用される素材には、


・大麻布

・手紡ぎコットン

・草木染め

・伝統織物


などがあり、自然素材を中心に展開されています。


さらに特徴的なのが、ブランドが掲げる「修繕と継続」の思想です。MITTANでは購入後の修理や染め直しなどのアフターケアを行い、衣服を長期間着用することを前提としています。


これは衣服を消費物ではなく、「生活を共にする道具」として捉える思想であり、日本のアルチザン文化を象徴する姿勢と言えるでしょう。


■ 灰草(はいくさ)



日本の精神性を纏う衣服


灰草は、日本の伝統的な美意識や宗教観をベースに展開されているブランドです。

衣服を単なる装飾ではなく、「精神性を纏う存在」として捉えている点が特徴です。


ブランド名である「灰草」は、日本文化における循環や再生の概念を象徴しています。


灰草の服作りは、素材選びから製法に至るまで、日本古来の技術や思想が色濃く反映されています。


特に、


・自然染料による染色

・手仕事による加工

・経年変化を前提とした素材選定


などが挙げられます。


また、灰草の衣服は、均一性を重視しない点も特徴的です。同じ製品であっても微妙な個体差が存在し、それが作品としての価値を生み出しています。


これは「不完全さの中に美を見出す」という、日本独自の美意識に通じています。



■ 日本アルチザンブランドの価値



今回ご紹介したブランドはいずれも、単なるデザインブランドではありません。


共通しているのは、衣服を「長く付き合う存在」として提案している点です。


素材の選定、製法、修繕文化、そして経年変化。これらすべてが、日本アルチザンブランドの価値を形成しています。


服を選ぶという行為は、単なるスタイル選択だけではなく、どのような時間を過ごすかを選ぶことでもあります。


日本のアルチザンブランドは、その時間そのものを豊かにしてくれる存在と言えるでしょう。

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